演奏曲目について
1. コロネーション
熱田修二のオリジナルで、Fマイナーの32小節、マップ・テンポで演奏される。曲名は、熱田がカクテルの中から選んでつけたという。スピード感溢れる歯切れの良い演奏で、ドラム・ソロに始まり、2管のテーマ、高橋(ts)、小川(p)、山下(ds)ソロと続く。ビッグバンドアレンジにしてもおもしろい曲といえよう。
2. ブルース・オン・マイ・マインド
アート・プレイキーのジャズ・メッセンジャーズの有力メンバーとして、幾多の名曲を書いたテナーサックス奏者ベュー・ゴルソンが、1958年、United Artistレーベルに録音したBennyGolson’sPhiladelphiansというアルバムで発表したブルース・リー・モーガン(tp)、レイ・ブライアント(p)、パーシー・ヒース(b)、フィリー・ジョー・ジョーンズ(ds)というすごいメンバーで、この曲の他にも、StablematesやAfternoonlnParisなどの名曲を含む名盤中の名盤であった。ゆっくりしたテンポで、高橋(ts)のみずみずしい音色、熱田(tp)のブルージーなリード、小川(p)のつぶやくような、一寸ベイシーを恩わせるプレイ、絶妙のリズムのバッキング、ライブだったら、もっとソロを聴きたいと恩わせるだろう
3. アップ・ジャンプト・スプリング
トランペットのフレディ・ハバードが、1966年Atlanticレーベルに吹き込んだBacklashというアルバムで発表したジャズワルツ調の可愛らしい曲。ジョージ・ケイプルスやウォルター・ビショップも演奏している。ミユートをつけたtpとtSのデユエットによるテーマの展開が面白く、ブラッシュによるドラミングとよくうたうベースのバッキングのソフトな味付が好ましい。続くPソロ、ミュートtpのソロ、bソロと曲調をいかしたサウンドが快く響く。
4. クインテセンス
名アレンジャー、クインシー・ジョーンズが、1961年にビッグ・バンドで発表したアルバムQuintessenceの中の標題曲で、クインシー独特のラプソディックで抒情味溢れる美しいバラッドである。ここでは、熱田のトランペット・ソロをフィーチュアして、しっとりと演ずる。
5. ザ・モア・アイ・シー・ユー
1945年の映画「ダイヤモンド・ホースシュー」の主題歌として、マーク・ゴードンとハリー・ウォーレンが作詞作曲し、主演のディック・ヘイムスの歌ったDecca盤がペストセラーになった。ジョニー・ハートマンが歌ったImpulse盤も出た。ジャズメンでは、ハンク・モプレイ(ts)が、1960年のRollCallというBlue Noteアルバムの中で演奏した。フレディ・ハバード(tp)、ウィントン・ケリー(p)、ポール・チェンバース(b)、アート・プレイキー(ds)という超一流のメンバーによる名演として名高い。他にフィンアス・ニユーポーン(Cp)が、1956年のAtlanticレーベルHere ls Phineasの中で、ピアノ・ソロでプレイしている。軽快なテンポで、tpとtsの酒落たデュオによるテーマに続いてtp、ts、pが心地良いムードのソロで、聴く者を気楽な気分に誘う。ベテラン揃いならではの名人芸だ。 |
6. スプリング・キャン・リアリー・ハング・ユー・アップ・ザ・モースト
この美しいバラッドは、1955年セントルイスで上演されたミユージカル「ザ・ナーヴァス・セット」の主題歌として、トミー・ウォルフが作曲した佳曲で、’59年プロードウェイに進出したが、僅か23回でクローズするという悲運に見舞われた。しかしこの歌だけは、多くの歌手に愛好ざれ、ジャッキー&ロイのチームが早くも1955年に録音した他、マーク・マーフィ、カーメン・マクレエ、アイリーン・クラール、クリス・コナーらが次々と吹き込み、ダイアン・リーヴスも初期アルバムで歌った。ジャズメンとしては、スタン・ゲッッが1959年ストックホルムで録音し、1961年にも同地で演奏し、1963年には、VerveレーベルのStan Getzwith Stringsというアルバムの中で採り上げた。高橋達也は、このゲッツのプレイを聴いて気に入り、早くからライプで演奏してきたので、今回テナーのソロをフィーチュアした。なかなか洒落た味をもつバラッドで、高橋の歌うようなフレーズが,心にしみる。
7. ノー・ミー・工スクエツサ
テナー・サックスの人気奏者ジョー・ヘンダーソンが1971年マイルストーン・レーベルに吹き込んだInPursuitofBlacknessというアルバムの中で、作曲しプレイした曲。カーティス・フラー(tb)、ジョージ・ケイプルス(p)、スタンリー・クラーク(b)、レスー・ホワイト(ds)らを従えて、ヘンダーソンのtsをフィーチュアしたサンバ調のナンバーである。ここでも、ボサノバ風のリズムにのって、高橋(ts)、熱田(tp)がソロをとる。
8. クローバァー・リーフ
熱田修二自作のバラッドで、ゆったりとしたテンポで、熱田が思い切り、日常のトランペットヘの情熱をぶちまけて、切々と歌い上げる。硬軟強弱を巧みに使い分けた説得力あるプレイが胸を打つ。現役のプロもこれをきけば顔色を失うだろう。
9. ファーマーズ・マーケット
トランペットの名手アート・ファーマーが1956年NewJazzレーベルに吹き込んだFarmer’s Marketというアルバムのタイトル曲で、出だしはホレス・シルヴァーのOpusde Funkを思わせるようなファンキ一なムードいっばいのブルースである。ウォーデル・グレイの演奏したアルバムがあり、マーク・マーフィや、ランバート・ヘンドリックス&ロスが歌詞をつけて歌ったものもある。軽快なテーマに続き、P、tp、ts、bが、それぞれファンキーにリラックスしたソロを展開する。
1999年9月 記 瀬川昌久 |